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btob-marketing·2026年7月22日公開·執筆:ReAnker編集部

BtoBのペルソナ・カスタマージャーニー設計|作り方と実務の手順

BtoBのペルソナとカスタマージャーニーの作り方を解説。BtoB特有の意思決定構造(DMU)、ペルソナの作り方、ジャーニーマップの設計、各段階のコンテンツ設計まで、施策に活きる作り方を実務目線で整理します。

#BtoB#ペルソナ#カスタマージャーニー#DMU#マーケティング
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「誰に向けた施策なのか」が曖昧なまま、コンテンツや広告を作っていませんか。BtoBは関わる人が多く、検討プロセスも長いため、ターゲットとその購買プロセスを言語化しておかないと、施策がぶれます。それを整理するのが、ペルソナとカスタマージャーニーです。

この記事では、施策に活きるBtoBペルソナとカスタマージャーニーの作り方を、BtoB特有の構造を踏まえて実務目線で詳しく解説します。

BtoB特有の意思決定構造(DMU)

BtoBの購買では、BtoCと決定的に異なる点があります。それは一人で意思決定することがほとんどないという点です。複数の関係者(DMU:Decision Making Unit / 意思決定ユニット)が関与し、それぞれの立場から評価・判断をします。

DMUの主な登場人物

役割 職種の例 主な関心事
担当者(起案者・情報収集者) マーケ担当・情シス担当・経営企画 業務効率化・課題解決・使いやすさ
影響者(インフルエンサー) 現場ユーザー・技術担当 現場での使い勝手・技術的要件
決裁者(バイヤー) 部長・役員・CEO 予算・ROI・リスク・会社戦略との整合
窓口・購買担当 購買部門・総務 契約条件・コンプライアンス
ゲートキーパー 秘書・アシスタント 情報の取捨選択・スケジュール管理

それぞれ関心が違うため、響くメッセージも、必要なコンテンツも異なります。

DMUが大きいほど意思決定は複雑になる

Gartnerの調査では、BtoB購買に関与するステークホルダーは平均6〜10人とされています。企業規模が大きいほど、また導入リスクが高いほど、意思決定に関わる人数が増えます。

💡 ポイント: BtoBマーケティングでは「誰か一人に刺さるコンテンツ」より「異なる立場の関係者それぞれに刺さる施策の組み合わせ」が必要です。担当者向けのブログ記事・決裁者向けのROI資料・現場ユーザー向けのデモ動画、といった設計が有効です。

ペルソナの作り方

なぜペルソナが必要か

ペルソナとは、ターゲット顧客を具体的な人物像として表現したものです。「製造業の中小企業の担当者」という抽象的なターゲット像より、「愛知県の自動車部品メーカー、従業員100名、営業管理に困っている45歳の営業部長 山田さん」という具体的なペルソナのほうが、コンテンツ・広告・営業資料の設計がしやすくなります。

ステップ1:実在の顧客から作る

ペルソナは「理想の顧客像」を空想で作るのではなく、実際の顧客・商談データから作ることが重要です。

データ収集の方法

  • 営業・カスタマーサクセスへのインタビュー:どんな課題を持った人が購買しているか、どんな質問・懸念をしているか
  • 受注顧客へのインタビュー:なぜ選んでくれたか・検討時に何が決め手だったか
  • 失注顧客の分析:なぜ選ばれなかったか(可能ならインタビュー)
  • CRM・商談データの分析:受注した企業の共通属性(業種・規模・課題)
  • Web行動データ:どんな検索ワードで来訪・どのページを見たか

✅ 実践ポイント: ペルソナを作る最短ルートは「営業担当者に3〜5人の成約顧客の特徴を聞くこと」です。「どんな課題を持っていたか」「誰が意思決定したか」「何が決め手になったか」の3つを聞くだけで、ペルソナの骨格が見えてきます。

ステップ2:盛り込む要素

BtoBペルソナに必要な情報

カテゴリ 具体的な項目
基本情報 役職・部署・担当業務・経験年数
会社情報 業種・企業規模・地域・事業フェーズ
課題・目標 抱えているビジネス課題・担当しているKPI
購買行動 情報収集の方法・よく読むメディア・信頼する情報源
検討時の懸念 導入を躊躇する理由・社内で反対意見が出そうなポイント
感情・動機 達成したいこと・恐れていること・担当者としての野望

ステップ3:複数のペルソナを設計する

担当者と決裁者では、響くメッセージが大きく異なります。

担当者(起案者)向けペルソナの特徴

  • 課題:業務の非効率・チームの生産性
  • 関心:機能・使いやすさ・他社事例
  • 求めるもの:「社内提案に使える資料」「無料トライアルで試したい」

決裁者向けペルソナの特徴

  • 課題:部門のKPI・コスト・リスク
  • 関心:ROI・実績・信頼性
  • 求めるもの:「費用対効果の計算根拠」「経営課題との整合性」

マーケの全体像は BtoBマーケティングとは を参照してください。

ペルソナのドキュメント例

【ペルソナ名】田中 裕二(仮名)
【年齢・職位】42歳、営業部長
【会社】従業員80名の機械部品メーカー(愛知県)
【担当業務】営業チーム(10名)のマネジメント・売上目標管理

【課題】
・営業活動がExcelとメモで管理されており、案件状況の把握が困難
・毎週の報告集計に3時間かかっている
・失注した案件の分析ができておらず、改善サイクルが回らない

【目標・KPI】
・年間受注額120%達成
・商談化率の向上

【情報収集】
・業界紙・Webメディアを週1〜2回確認
・LinkedInはたまに見る
・信頼できる知人からの紹介を重視

【検討時の懸念】
・導入・定着にかかる手間(現場が使ってくれるか不安)
・コストに見合う効果があるか
・取引先との情報管理に問題がないか

【感情・動機】
・来期の目標達成にプレッシャーを感じている
・部下に「使いにくい」と言われたくない
・社内でDXを推進したいという意欲がある

カスタマージャーニーの設計

カスタマージャーニーとは

ペルソナが、課題認識から契約・活用までどのようなプロセスを経るかを描いたマップです。BtoBの特徴は、検討期間が長く(数週間〜数ヶ月)、複数の関係者が異なるタイミングで関与することです。

BtoBのジャーニーステージ

ステージ 顧客の状態 考えていること
課題認識 問題には気づいているが解決策はまだ探していない 「なんかうまくいっていない」
情報収集 解決策を調べ始める 「何で解決できるんだろう」「他社はどうしているか」
比較検討 候補を絞り込み、比較する 「AとBどちらがいいか」「本当に効果があるか」
意思決定 社内稟議・最終判断 「上司をどう説得するか」「リスクはないか」
導入・活用 実際に使い始める 「ちゃんと使えるか」「投資回収できるか」
継続・推奨 活用が定着・他社に紹介 「もっと活用したい」「知人にも紹介したい」

ファネルとの対応は BtoB SaaSのマーケファネル設計 を参照してください。

各ステージで顧客が行うこと(タッチポイント)

課題認識ステージ

  • Google検索で業界の課題を調べる
  • 業界メディアの記事を読む
  • 同業他社の担当者に話を聞く

情報収集ステージ

  • 「〇〇 ツール」「〇〇 方法」などのキーワードで検索
  • ホワイトペーパー・調査レポートをDL
  • ウェビナーに参加する

比較検討ステージ

  • 複数のサービスサイトを比較
  • 導入事例を読む
  • 無料トライアル・デモを申し込む
  • レビューサイト(G2・ITreview)を確認

意思決定ステージ

  • 稟議書類の作成
  • 上司・決裁者への説明
  • ベンダーへの詳細条件交渉

各段階のコンテンツ設計

ジャーニーの各段階に、適切なコンテンツを配置することが、マーケティング施策の設計の核心です。

課題認識ステージのコンテンツ

目的:潜在顧客が「自分の課題は解決できる」と気づかせる

  • 課題啓発ブログ:「〇〇業界が抱える3つの課題」「Excelで営業管理をするデメリット」
  • 業界動向記事:市場変化・競合動向・規制変更
  • SEO対策コンテンツ:課題を検索するキーワードで上位表示(→ BtoBコンテンツマーケティングの始め方)

情報収集ステージのコンテンツ

目的:解決策の選択肢として自社を認識してもらう

  • 解説記事:「SFAとCRMの違いとは」「〇〇を選ぶ際のポイント」
  • ホワイトペーパー:より詳細な情報を提供(リード獲得も兼ねる)
  • ウェビナー・動画:専門知識をわかりやすく伝える

比較検討ステージのコンテンツ

目的:選択肢の中から自社を選んでもらう理由を提供する

  • 導入事例:「〇〇社の導入事例:コスト30%削減を実現」(→ 導入事例コンテンツの作り方)
  • 比較資料:競合との機能比較表、自社が強い理由
  • デモ動画・無料トライアル:実際に試せる体験の提供

意思決定ステージのコンテンツ

目的:決裁者の不安を解消し、社内稟議を後押しする

  • ROI計算シート:費用対効果を定量的に示す
  • 決裁者向け資料:詳細なUX説明ではなく、経営課題・ROIにフォーカス
  • 導入後のロードマップ・サポート体制説明:導入リスクへの安心材料
コンテンツタイプ 課題認識 情報収集 比較検討 意思決定
ブログ記事 ○ ○ - -
ホワイトペーパー - ○ ○ -
導入事例 - - ○ ○
デモ・トライアル - - ○ ○
ROI資料 - - - ○
比較資料 - - ○ ○

ABMとの関係

特定の重要アカウント(企業)を狙うABMでは、そのアカウントの関係者ごとにペルソナとアプローチを設計します(→ ABMの始め方)。

ABMにおけるジャーニー設計のポイント:

  • アカウント(企業)単位でのジャーニーを設計する
  • 同一アカウント内の複数の関係者(DMU)それぞれへのアプローチを設計する
  • アカウントの状態(未接触・接触中・商談中など)で施策を変える
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ジャーニーマップの作り方(ワークショップ)

ペルソナとジャーニーマップは、チームで作ることで共通認識が生まれます。

ワークショップの進め方(2時間)

  1. 準備(30分前):インタビュー結果・商談データをまとめておく
  2. ペルソナ作成(40分):各自が付箋でペルソナの属性・課題を書き、共有
  3. ジャーニー作成(60分):ステージごとに「考えていること」「調べていること」「タッチポイント」「コンテンツ」を貼っていく
  4. コンテンツギャップの特定(20分):「このステージに足りないコンテンツは何か」を議論

定期的に見直す

ペルソナとジャーニーは、一度作って終わりではありません。

  • 四半期に1回:商談データ・受注率・失注理由を確認し、ペルソナの精度を更新
  • 市場変化時:競合の新製品・業界の規制変更・コロナのような外部変化があった場合
  • 施策拡大時:新しいセグメントや業種に拡張する場合

競合の動向把握には 競合分析のフレームワーク完全解説 も参考になります。競合がターゲットしている顧客セグメントや訴求が変化していないかも、あわせて確認するとよいでしょう。

⚠️ 注意: 「ペルソナを作ったことがある」という企業でも、それが2〜3年前のものであれば、現在の顧客像と乖離している可能性があります。市場・顧客の変化に合わせ、定期的に実データで見直すことが重要です。

ペルソナ・ジャーニー設計と競合監視

ペルソナとジャーニーを定期的に更新するためには、競合が顧客にどんな価値提案をしているかを継続的に把握することが役立ちます。競合の新サービスやメッセージの変化は、自社ペルソナの課題認識や検討軸が変わるサインになることがあります。

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まとめ

BtoBのペルソナとカスタマージャーニーは、DMU(複数の関係者)を踏まえ、実在の顧客から作り、各段階の思考とコンテンツを設計する――これで施策のターゲットが明確になり、ぶれなくなります。空想でなく、商談データ・インタビューに基づいて作り、定期的に更新しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. BtoBのペルソナはどうやって作ればよいですか? A. 理想像を空想で作るのではなく、実在の顧客・商談データから作るのが重要です。営業やカスタマーサクセスへのインタビューで「どんな課題があったか」「誰が意思決定したか」「何が決め手だったか」を聞くだけでも、ペルソナの骨格が見えてきます。

Q. BtoBで複数のペルソナが必要なのはなぜですか? A. BtoBの購買では担当者・影響者・決裁者など複数の関係者(DMU)が異なる立場から関与し、響くメッセージが役割ごとに違うためです。担当者向けのブログ、決裁者向けのROI資料、現場向けのデモ動画といった組み合わせが必要になります。

Q. カスタマージャーニーはどのくらいの頻度で見直すべきですか? A. 四半期に1回、商談データや失注理由をもとに精度を更新するのが目安です。競合の新製品や業界の規制変更など外部環境が動いたとき、新しいセグメントへ拡張するときも見直しの好機になります。

関連記事:BtoBマーケティングとは / BtoB SaaSのマーケファネル設計 / BtoBコンテンツマーケティングの始め方 / ABMの始め方

この記事を書いたチーム

ReAnker編集部

競合・PR動向モニタリングSaaS「ReAnker(リアンカー)」の開発・運営チーム。 PR TIMESとGoogle Newsを毎日監視するプロダクトの知見をもとに、広報・マーケティング担当者向けに競合監視とPR実務の情報を発信しています。 記事は公開後も定期的に見直し、事実関係・料金情報を更新しています(編集ポリシー)。

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