プレスリリースの書き方|効くタイトル・本文構成・配信前チェックリストを完全解説
プレスリリースの書き方を、6類型ごとのテンプレート・タイトル設計・本文構成・配信前チェック・配信後フォローまで一気通貫で解説。メディアに取り上げられやすくする実務的な書き方を網羅します。
プレスリリースは「書いて配信すれば終わり」ではなく、メディア・読者・SEO の3つの読み手 を意識して設計するものです。同じ内容でも、書き方ひとつで取り上げられる本数が10倍違う、というのが実務経験からの実感です。
この記事では、効くプレスリリースの実務的な書き方を、タイトル設計から配信前チェックリスト、配信後のフォローアップまで一気通貫で整理します。広報担当者・スタートアップ経営者・PR会社の若手担当者まで、現場で使える内容に絞りました。
プレスリリースを読む3つの読み手
プレスリリースは「誰に向けて書くか」を曖昧にすると、誰にも刺さらない文章になります。実際の読者は3者います。
| 読み手 | 求めるもの | 読むタイミング |
|---|---|---|
| メディア記者 | ニュースバリュー、独自性、データ、画像素材 | 朝・昼の情報チェック時 |
| 顧客・見込み顧客 | 自社にどう役立つか、価格、競合との違い | サービス検討フェーズ |
| 検索エンジン(SEO) | テキスト構造、見出し階層、内部・外部リンク | クロール時 |
3者すべてに刺さるのは難しいので、「メディア記者を最優先、その上で顧客とSEOに配慮」 の優先順位で書くのが定石です。記者に取り上げてもらえれば、結果として顧客にも届き、SEOにも効果が波及します。
逆に「自社サイト用」を最優先にすると、SEOには効くがメディアには刺さらない、という残念な結果になりがちです。
プレスリリースの6類型
書き方の前に、自分が今書こうとしているリリースが どの類型か を明確にしましょう。類型ごとに最適な構成が違います。
| 類型 | 例 | 主な読み手 | ニュース性 |
|---|---|---|---|
| 新サービス・新商品 | プロダクトローンチ、新機能追加 | メディア・見込み顧客 | 高 |
| 資金調達・経営 | シリーズA調達、上場、M&A | 経済紙・業界紙・投資家 | 最高 |
| 人事 | 経営陣交代、CXO就任 | 業界紙・取引先 | 中 |
| 提携・パートナーシップ | 業務提携、販売代理店契約 | 業界紙・取引先 | 中 |
| 調査・データ発表 | 業界調査レポート、白書 | 業界紙・経済紙 | 高(独自性あれば) |
| イベント・キャンペーン | セミナー、展示会出展、期間限定企画 | 業界紙・見込み顧客 | 低〜中 |
「新サービス」と「調査リリース」では、強調すべきポイントが全く違います。書き始める前に「これは何類型か」を1秒で答えられるように。
タイトル設計
プレスリリースの 8割の運命はタイトルで決まる といっても過言ではありません。記者の受信箱には毎日数百本のリリースが届き、タイトルだけで開封の可否が決まるからです。
効くタイトルの公式
【主語】が【動作】する【日付・条件】|【数字・固有名詞】
例:
- ❌ 弊社、新サービスをリリースしました
- ❌ 革新的な競合監視サービスの提供を開始
- ⭕ 株式会社◯◯、月額300円で使えるBtoB競合リリース監視ツール「ReAnker」を5月23日に提供開始|PR TIMESとGoogle Newsを一括監視
良いタイトルのポイント:
- 主語に社名を入れる(メディアでの一覧表示で目に止まりやすい)
- 数字を入れる(金額・日付・パーセンテージ)
- 固有名詞を入れる(サービス名、対象媒体、技術名)
- 動詞を明確に(「提供開始」「実施」「発表」など)
- 50〜60文字前後(PR TIMESの推奨)
NGパターン
以下のような表現は記者から敬遠されます。
- 「業界初」「世界初」のような根拠不明な強調
- 「画期的な」「革新的な」「次世代の」のような抽象的形容詞
- 主語が省略されている(「新サービス開始」だけ等)
- 数字がない(「大幅にUP」「多数の事例」等)
- 主観的すぎる(「これからのスタンダード」等)
タイトルのA/Bテスト
社内で2〜3案出して、「自分が記者なら開くか」 を基準に投票するのがおすすめ。1人で考えると主観に偏りがちなので、最低3人の意見を集めます。
業界トップ企業のリリースのタイトルを 過去30件 並べて読むと、業界のお作法が見えてきます。PR TIMES の各企業ページで簡単に閲覧できるので、書く前に5分の調査をすると質が変わります。
本文構成(5パート)
タイトル次第で開封されたら、次は本文。記者は最初の数行で「読み続けるか・スキップするか」を判断します。
1. リード文(最初の3行)
「誰が・何を・いつ・どこで・なぜ」を3行に圧縮。記者が一覧で読むのは最初の3行だけ という前提で書きます。
例:
株式会社◯◯(本社:東京都港区、代表取締役:山田太郎、以下「当社」)は、BtoB向け競合リリース監視ツール「ReAnker」を2026年5月23日に提供開始しました。月額300円から、PR TIMESとGoogle Newsを一括で監視できる、個人・小規模チーム向けのサービスです。
ここで含めるべき要素:
- 会社の正式名称・本社所在地・代表者名
- リリースの主題(何を発表するのか)
- 開始日・提供開始時期
- 主要な差別化ポイント(価格、機能、対象顧客)
3行目までで「これは何の話か」が完全に分かるように設計します。
2. 背景(なぜ今か)
業界の課題、市場規模、トレンドを 数字で 示します。記者は「なぜこのタイミングなのか」を理解できないと、記事化のフックを失います。
例:
国内のBtoBマーケティング担当者の◯%が、競合のプレスリリースを継続的に把握できていないという調査結果(出典:◯◯)があり、特に1〜5名の小規模マーケチームでは、手動チェックが属人化しやすい状況にあります。
背景パートで使える材料:
- 業界統計(経産省・総務省・業界団体のデータ)
- 自社調査(顧客アンケート、利用データ)
- 海外動向(同分野の海外SaaSの動き)
- 規制・行政の動き(法改正、ガイドライン公表)
- トレンドキーワード(生成AI、ESG、リモートワーク等)
「自社視点」だけで書くと弱いので、「業界全体の動きの中で、自社がどう貢献するか」 という構造にすると説得力が出ます。
3. サービス・製品の詳細
機能・特徴を箇条書きで3〜5点。メディアが引用しやすい一文 を必ず入れます。
例:
「ReAnker」の主な特徴:
- PR TIMES と Google News を1ツールで自動監視
- 競合企業のURL を登録するだけで運用開始
- 毎朝9時に前日の新着リリースだけを Slack・メールへ通知
- 月額300円(税抜)から、無料プランあり
箇条書きの順番は 「最も差別化される点を最初」 に置くのが鉄則。読者が3項目目で離脱しても、最初の項目だけは確実に残ります。
4. 利用者の声・データ
ベータユーザーの声、ROI試算、業界比較データ。「事実」と「主観の引用」を分けて 記載します。
良い構成:
- 数字(客観事実):「導入企業の◯%が、競合監視の工数を月◯時間削減」
- 声(主観引用):「『朝9時に1通読むだけで前日の競合動向が分かるようになり、月次のマーケ会議の準備時間が3分の1に減った』(◯◯株式会社・マーケティング部長・氏名)」
引用は 固有名詞で 出すのが原則。「ある利用者」「某企業」だと信憑性が落ちます。
5. 会社概要・問い合わせ先
定型ですが、最後まできっちり書きます。
- 会社名(正式名称)
- 本社所在地
- 代表者名
- 設立年月日
- 事業内容
- URL
- 報道関係者からの問い合わせ先(メアド・電話・担当者名)
特に 「報道関係者からの問い合わせ窓口」 は、当日に必ず対応できる体制で。問い合わせを取りこぼすと、せっかくの取材機会を失います。
画像・図表の準備
テキストだけのプレスリリースは記事化されにくいです。最低限、以下を準備します。
| 種類 | サイズ目安 | 用途 |
|---|---|---|
| メインビジュアル | 横長 1200×630px | OG画像、記事冒頭 |
| サムネイル | 正方形 600×600px | 一覧表示 |
| 製品スクリーンショット | 高解像度 | 機能説明 |
| インフォグラフィック | 横長または縦長 | データ可視化 |
| 経営者写真(人事リリース時) | 縦長 800×1200px | 取材記事用 |
画像のファイル名は英数字 に(記者が記事に転用する際の検索性が上がる)。日本語ファイル名や「IMG_1234.jpg」のようなランダム名はNG。
配信前チェックリスト
配信前に以下を全項目チェック。1項目でも欠けると配信を止める くらいの規律でちょうどよい。
- タイトルは50〜60文字、固有名詞・数字あり
- リード文の最初の3行で5W1Hが分かる
- 背景に客観データ・出典あり
- サービス詳細に画像・図表あり
- 引用しやすい一文(30字程度)あり
- 利用者の声に固有名詞あり
- 会社概要、問い合わせ先、URL記載
- OG画像(横長1200×630)、サムネイル画像準備済
- 配信日時、エンバーゴ(解禁日時)の確認
- 社内承認(経営・法務・人事)取得済
- 主要メディアへの個別連絡準備済
- 配信後のSNS投稿文・自社サイト掲載準備済
配信後のフォロー
配信して終わりではありません。配信後の動きで露出本数が変わります。
配信当日
- 自社サイトのトップで告知
- 公式SNS(X、LinkedIn)で投稿
- 関係する記者に個別メール(簡潔に「本日配信しました」と1行)
- 社員にも社内通知(Slack・メール)
配信3日後
- 取材依頼への返信状況をチェック
- 取り上げ媒体一覧を集計
- SNSでの拡散状況をモニター
配信1週間後
- 取り上げメディアの本数・媒体タイプを集計
- 反響アンケートをユーザーに送付
- 配信前後のサイト訪問数・問い合わせ数を比較
業界別の留意点
BtoB SaaS
- 数字(CAC・LTV・成長率)を明示
- 既存顧客の声を必ず入れる
- 比較表を入れると検討されやすい
不動産・建築
- 物件・建築物の写真は必須
- 立地条件・規模を冒頭で明示
- 環境配慮(ZEH、CO2削減)の言及があると好印象
食品・飲料
- パッケージ画像と中身の写真
- 季節性・地域性のフック
- 試食体験・サンプル提供の有無
教育・キャリア
- 受講料・期間・修了証の有無を明示
- 受講者の声・進路実績
- 業界統計や行政データの引用
よくある失敗例
実務で繰り返し見る失敗パターンを5つ。
失敗1:自社視点だけで書く
「我が社は」「弊社の」が多用されているリリースは、記者には響きません。業界全体の文脈で、自社の位置付け を語る。
失敗2:数字が漠然
「多数の利用者から評価をいただいております」より「過去6ヶ月で342社が導入」の方が、説得力もSEOも上がります。
失敗3:画像が貧弱
スマホで撮ったような暗い写真、ロゴだけのシンプル画像、ストック写真の流用。プロのカメラマンに頼むか、デザイナーに作ってもらう。1万〜5万円で品質が上がります。
失敗4:配信タイミングが雑
金曜17時に配信して週末に埋もれる、月曜朝イチで他社リリースに紛れる。火・水・木の10〜11時 が定番です。詳細は プレスリリース配信タイミング を。
失敗5:配信後のフォローなし
配信して放置していると、取材機会・SNS拡散の機会を取りこぼします。配信後1週間は能動的にフォロー する体制を作ります。
競合のリリースを参考にする
業界トップ企業のプレスリリースは 書き方の教科書 です。タイトル設計、本文構成、画像の使い方、配信タイミングを継続的に観察すると、自社の書き方が一段上がります。
具体的な学び方:
- 直接競合5〜10社のPR TIMES企業ページをブックマーク
- 月1回、過去30日分のリリースをまとめて読む
- 取り上げ媒体数の多かったリリースの構造を分解
- 「自社でも使える表現」をストック
ただし、競合のリリースを毎日チェックする運用は手動だと続きません。属人化しやすく、担当が変わると止まります。
ReAnker のような専用ツールで自動監視すると効率的です。月額300円から、競合企業のPR TIMES企業ページとキーワードを登録するだけで、毎朝1通のメールで前日の新着リリースだけが届きます。AI要約や複雑な機能はなく、「PR TIMES と Google News を1ツールで」というシンプルな設計です。
詳細は PR TIMES で競合リリースを見逃さない方法 と /compare で比較しています。
SEO観点で押さえること
プレスリリースはSEO効果も無視できません。PR TIMES からの被リンクは、自社サイトのドメイン評価を引き上げる重要な要素です。
SEO観点の書き方
- 見出しを階層的に(H2, H3 を使う)
- 本文内に自社サイトの主要ページへのリンクを3〜5本
- alt属性つきの画像
- 構造化データ(JSON-LD)の埋め込み(PR TIMES側で自動付与)
- タイトルの後半に検索KWを含める
ただしSEOは副次的効果で、メインの目的は メディア露出 であることを忘れずに。
まとめ
- プレスリリースは「メディア記者」を最優先に書く
- タイトルは主語・数字・固有名詞・50〜60文字
- 本文はリード→背景→詳細→声→会社概要の5パート
- 画像・図表を必ず準備、ファイル名は英数字
- 配信前は必ずチェックリストで全項目確認
- 配信後1週間は能動的にフォロー
- 競合の書き方を継続的に観察するのが上達の近道
プレスリリースの質を上げるには、「書く力」より「観察する習慣」 が効きます。業界トップ企業の発信を毎日読み続けるだけで、3ヶ月後には自分の書き方が変わっているはずです。
関連:プレスリリース配信タイミング / PR TIMES と @Press の違い / メディアリレーションの作り方 / PR効果測定の基本
